ワールドフォーラム9月例会のご報告

伝田式聴覚トレーニングの実態と展望

傳田聴覚システム研究所 所長 傳田 文夫 氏

ワールド・フォーラム9月例会では、久しぶりに、人間の身体を科学する聴覚の専門家をお招きして、日本人の聴覚の能力には、日本語の言語としての特性が大きく作用しているが故の音楽や外国語習得能力の欠陥だという分析・解説して下さる、聴覚トレーニングの専門家の傳田文夫氏に聴覚の問題についてお話戴き、「聴覚トレーニングの実態と展望」について体験を交えながらご教示戴きました。
傳田聴覚システム研究所 所長 傳田 文夫 氏をお招きして、「伝田式聴覚トレーニングの実態と展望」というテーマで、伝田式聴覚トレーニングを参加者全員で10分間体験して戴きながら、その開発経緯と事例について講演賜りお話戴きました。

日本人が西洋音楽を演奏する時、どんなに努力しても欧米人のような演奏には到達出来ないという悩みを抱きます。この原因を、大学でクラリネットを教えながら20年余り研究し、その要因が母国語である日本語の特性にあることを突き止められました。つまり、母音の原語習慣で音楽を聴き、演奏をしていることが原因だったのです。日本人が外国語の発音やヒアリングを苦手とするのも同じ理由です。このような問題の克服や矯正は、非常に困難なテーマであったが、加工した音楽を特殊なヘッドフォンで聴くという、誰にでも実行が容易な方法を開発し、それにより、音楽や語学分野で短期間で飛躍的な成果を実感出来る人が続出したそうです。そればかりか、神様の贈り物のような、当初は夢想だにしなかった事例が次々と報告され始め、各種の能力開発・性格や精神面の変革、身体面の改善など、驚く程多岐に亘った複合成果がメカニズムの解明は、これからの研究に待つところです。開発者としては内耳神経が潜りこんでいる脳幹の活性化に関係するのではないかと感じられ、今回は会場で10分間程度の聴覚テストを行ない、参加者全員に実際に視覚・聴覚・身体の柔軟性の変化等を体感して戴きます。現代においては、人々の心身のバランスが崩れ、病的な社会現象が深刻な状況であるが、このような時代に役立つ技術として、広範囲で即効性の高いこの技術を活用して戴きたいと切望致します。

プロフィール

傳田 文夫 氏

傳田 文夫 氏 昭和22年東京生まれ。国立音楽大学クラリネット科卒。元洗足学園大学クラリネット講師。その間、指揮・演奏学で独自の道を開き、1994年聴覚研究所を設立、2001年 株式会社 傳田聴覚システム研究所設立。流音聴力理論、母国言語聴覚認知論に基づく聴覚矯正及び学習システムの研究者。日本自閉症スペクトラム学会会員、日本音響学会会員、日本リズム協会理事、音楽熟成協会顧問、同東京支部代表世話人。著書に「日本人はクラシック音楽をどう把握するか」「クラリネットサキソフォンの為のシングルリード調整法」(共に芸術現代社)