天木直人氏「小泉イラク外交徹底批判と犠牲 奥大使・井ノ上一等書記官殺害事件」
「小泉イラク外交徹底批判と犠牲 奥大使・井ノ上一等書記官殺害事件」
-自衛隊のイラク派兵を前に日本外交のあり方を問う-
前駐レバノン日本国特命全権大使 天木 直人 氏
ワールドフォーラム1月例会では、2004年の新年早々、戦後60年が経過して初めて、憲法9条で禁止されている軍隊を“自衛の為”でなく同盟国米国の要請にのみ従って“国際紛争を解決する為の手段”として、憲法違反を承知で自衛隊を海外に派兵するという愚かで無謀な試みを小泉内閣は実施しました。こうした愚かな外交政策に異議を唱えこれを諌めその誤りを正す為、己れの職を賭して意見具申をされ、それが故に解任・勇退に追い込まれた“勇気ある真の外交官” 前駐レバノン日本国特命全権大使 天木 直人 氏 をお招きして 「小泉イラク外交徹底批判と犠牲 奥大使・井ノ上一等書記官殺害事件 -自衛隊のイラク派兵を前に日本外交のあり方を問う-」というテーマでお話戴きました。
天木氏は、2001年1月に駐レバノン全権日本大使に就任され、2003年春までに米国のイラク侵攻の情報を1年前に確信して本省に伝えるなど、2年間貴重なベイルート情報を集め、適宜本省に伝え、本年3月にはイラク侵攻のブッシュ米国政権に追随しようとする小泉外交に異議を唱え、小泉外交を批判した意見具申をしたが故に実質的に解雇されました。中東問題にはまるで無関心無能な小泉首相の実態を暴露して戴き、脳死状態にある日本外交を批判し、日本外交の再生の為に諌死してでも国民に伝えたかったことについてお話戴き、併せてイラク派遣されて暗殺された小泉イラク外交の犠牲者とも言うべき奥大使・井ノ上一等書記官殺害事件の真相に迫ってみたいと思います。かつて、奥克彦氏は、10年以上前ワールド・フォーラムの会員として熱心に参加して下さった視野の広い立派な将来ある人物でありました。ここに謹んでご冥福をお祈り申し上げますと共に、奥氏の訴えたかった遺志とは何であったのかを、皆様方と共に語り合いました。
プロフィール:天木 直人 氏
前駐レバノン日本国特命全権大使
1947年 山口県生まれ。69年京都大学法学部在学中に外交官上級職試験に合格し中退して、外務省入省。南東アジア第2課で1年間研修後、米国オハイオ州オーバリン大学に2年間留学し学位取得。ナイジェリア大使館、経済局、経済協力局、ジュネーブ国連代表部、サウジアラビア大使館、技術協力課を経て、85年アフリカ第2課長に就任、中曽根内閣の時内閣安全保障室審議官、マレーシア大使館公使、オーストラリア大使館公使、カナダ大使館公使、米国デトロイト総領事を経て、2001年1月に駐レバノン全権日本大使。 2003年8月末にイラク侵攻のブッシュ米国政権に追随しようとする小泉外交に異議を唱え批判して意見具申したが為に、実質的に解雇。著書に、「マンデラの南ア」(サイマル出版会) 最近著に「さらば外務省! -私は小泉首相と売国官僚を許さない-」(講談社)がある。